日本高等教育開発協会(JAED)
プログラム認証基準
2024年10月28日 日本高等教育開発協会 作成
Ⅰ.プログラム認証基準とは
プログラム認証基準とは、各機関が行う、大学教職員等に求められる能力の育成を目指すプログラムが一定の質を確保していることを、日本高等教育開発協会が認証する際の基準のことです。この基準は、各プログラムの目標として設定されることが望まれる能力の指標によって構成されています。あわせて、それらの目標達成のために最適な手法が選択され、かつプログラム修了者がその能力を身につけていることが求められます。
この基準は、「FDプログラムの構築支援とFDerの能力開発に関する研究」(平成20~22年度、国立教育政策研究所)の一環として作成された「新任教員研修のための基準枠組」をもとに、日本高等教育開発協会が2019年に、大学教員の教育職能開発及び大学におけるFDを支援するためのツールとして作成し、その後、改訂を重ねてきたものです。
Ⅱ.プログラム認証基準の目的
本基準は、各機関の大学教職員等の能力開発ならびにその能力証明を以下の観点で支援するために作成されました。
・日本の高等教育機関全体における教育の質の一貫性と公共性を確保すること。
・各機関の文脈や状況に対応し、教職員や機関の多様性と自律性を尊重すること。
本基準の目的は、第一に、日本の高等教育機関全体で一貫した公共性の高い質保証を行うことです。参照すべき望ましい基準を具体的に示すことで、申請者・認証者の双方が効率的に質の高いプログラムを設計・運用・評価することができるようにすることが重要です。
第二に、大学教職員等の自律的な能力開発(FD・SD)や、その能力証明を支援することにあります。本認証により、プログラムの修了者が自らの能力を証明できるようになること、そうした大学教職員等により構成された機関の教育の質保証を証明することができます。この基準に提示された能力をどの程度各人に求めるかは、各機関の文脈や状況によって異なります。そのため、認証の際には各機関の状況を十分に考慮し、教職員等及び機関の多様性と自律性を尊重することが重要です。これまで「基準枠組」という抽象度の高い用語が使用されてきたのは、そのような意図からです。2024年の改訂では、よりわかりやすい「認証基準」という用語を使用しましたが、その意図に変更はありません。
Ⅲ.プログラム認証基準の活用
プログラム認証基準は、各機関が能力開発の機会、例えば新任教員研修などを企画・実施する際の指針として役立ちます。その際、この指針をどのように用いるかや、重点を置く領域や能力の選択などは、各教職員等や各機関の目的や状況に応じて、当事者が決定することができます。教職員等が業績評価、採用、昇進時に自らの能力を証明したり、継続的な能力開発の計画を立てたりする際にも役立ちます。
日本高等教育開発協会(JAED)プログラム認証基準に基づく認証の手順
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申請希望の機関(以下、申請担当者)は、JAED事務局に申請を希望していることを伝える。
2. 申請担当者は、登録フォーム(機関についての基本情報)に必要事項を記載し,JAED事務局に送付する。
3. JAED事務局が認証担当理事に相談の上で、会員の中から申請評価担当の評価者(以下、評価者)候補なら
びにメンター候補を選定し、該当会員にその旨を伝える。メンターは評価者を兼ねることができる。合意
が得られれば評価者とメンターを確定する。
4. メンターが申請担当者にコンタクトをとる。メンターは必要な申請書類の作成を支援する。メンターは、 経過をJAED事務局および評価者と共有する。メンタリングは2回までとする(方法は対面、オンライン、
メールなど)。申請者は、プログラム内容や機関の体制に改善が必要であれば対応する。
5. 申請書類が揃った場合、評価者が申請機関を訪問し(必要に応じた回数)、関係者からヒアリングを行
う。オンラインでのヒアリングも可能とするが、書面のみでのヒアリングは不可とする。評価者は、ヒア
リング結果をJAED認証委員会に報告する。
6. JAED認証委員会が、認証結果を承認もしくは否認する。
注意事項:
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全認証プロセスはメンタリングを含め,通常6ヶ月以内で行う。
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認証の有効期限は,通常5年間である。必要に応じて、5年ごとの再評価を行う。
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申請を行った機関は、認証されたプログラムを修了した個人に対して、JAED認定の能力証明(資格)を授与することができる。